practice
実習を終えたラウダは、格納庫の前でカミルと話していた。
「今日の実習はどうだ?」
「ああ、まあまあかな。でも、旋回時にたまに機体が不安定になるんだ。改善の余地ありだね」
ラウダは真剣な表情で答える。
「そうだな。でも、お前の操縦技術は確実に上がってる」
カミルが励ますように言うと、ラウダは小さく頷いた。
「ありがとう。でも、まだまだ精進が必要だ」
そのとき、ラウダの視界の端に見覚えのあるシルエットが映った。
そこにはペトラとフェルシーの姿があり、ペトラは時折きょろきょろと周囲を見渡している。まるで誰かを探しているようだ。
その視線が、ラウダと合う。ペトラの瞳が、嬉しそうに輝いた。
ラウダはペトラに微笑み返そうとしたが、ふと、ヘルメットを脱いだばかりの髪がぐちゃぐちゃであろうことに気づいた。指を髪に通し、乱れた髪を直そうとするが、実習後の髪は汗で張り付いて思うように動かない。
そんなラウダの姿を、カミルが面白そうに眺めている。
「ペトラは別に、お前の髪型を好きになったわけじゃないと思うぞ」
「は?」
ラウダが驚いて振り向くと、カミルはにやりと笑った。
「そんなんじゃ……」
ラウダは否定しようとしたが、言葉が続かない。
カミルは手を上げ、格納庫の奥へと歩いて行った。
「いいじゃないか、別に。ペトラは頑張り屋だし、お前との相性もいい。俺は応援してるぞ」
ちらりとペトラを見やると、彼女はまだこちらを見ていた。
小さく手を振ると、ペトラの頬がかっと赤くなる。すぐに視線を逸らし、フェルシーを追って小走りで去って行ってしまった。